いつもお世話になっております、沖縄で中古不動産を扱う株式会社イエカリヤです。
あまり頻繁に見るものではないですが、登記簿謄本の甲区(権利部)に「処分禁止の仮処分」という登記がされていることがあります。
パッと見ただけでちょっと怖いこのワード、売買を進める際にはどうしたらいいでしょうか?
●そもそも処分禁止の仮処分とは
処分という言葉が2つ入っているので紛らわしいですね。
この登記がされているということは、物件の所有権について争いがあり、裁判所が売却を一時的に禁止している状態といえます。
例えば、宅建試験などでは時効取得の要件「10年間、所有の意思を持って、平穏、公然、善意、無過失に占有を続けた場合」か「20年間、所有の意思をもって、平穏、公然に占有を続けた場合」のどちらかで他の人の所有不動産の所有権を取得できる、となっています。
しかし、実務上では不動産を失う側がすんなり認めることは稀です、たいていの場合揉めて訴訟になることになるでしょう。
訴訟が終わらなければ時効取得での所有権移転はできないので、「名義は元の方だけど、これから別の人に変わる恐れがある」という怖い物件になってしまいます。
この状態で元の所有者が売却に出してしまうと、購入者と時効取得者との間で思わぬトラブルが起こってしまいます。
そうなると怖くて誰も不動産を購入できません、そこで裁判所が「処分禁止の仮処分」をその不動産に登記することで、
「今現在、所有権について争いがある物件」ということが誰の目にも明らかになります。
ちなみにこの仮処分の状態の間は元の所有者に所有権がありますし、裁判の結果で元の所有者のままということも十分あり得ます。
●どうしても契約を進めるならこうする
基本的には所有者が確定していないので契約を進めるべき案件では無いと思います。
しかし、購入者側の理解があり、それでも進めたいというのであれば、特約付きの契約書にした方がいいでしょう。
つまり、「処分禁止の仮処分が抹消されたら売買代金の支払い、相手に所有権が移った場合は白紙撤回」といった内容です。
ですが、手付金を払っていた場合、変換の可能性が通常の物件に比べて高く、売主側が使い込んでしまって返せないといったようなリスクが高いので最終手段といった感じです。
この登記がされているなら、たいていは弁護士さんか司法書士さんが関わっているはずなので、独断で決めず、相談しながら進めた方が無難です。
また、売主・買主の気が変わって契約自体がなくなる可能性は多少ありますが、裁判が終わって所有者が確定してから契約をした方が安全なのは確かです。
実際、弊社で行った時も確定後に契約・決済を行いました。
●まとめ
- 処分禁止の仮処分は、所有権を争っている状態
- 契約を無理に進める方法もあるが、裁判が確定してからの方が安心
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