いつもお世話になっております、株式会社イエカリヤです。
前回と同様に、宅建の判決文問題を過去問から解説していきます。
●平成26年問5
債権譲渡に関する次の1から4までの記述のうち、下記判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文)
民法は、原則として債権の譲渡性を認め(民法第466条第1項)、当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条第2項本文)ところ、債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は、債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると、譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。
1 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときに限り、債務者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
2 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
3 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
4 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するために付されるものであるので、債権者はいかなるときも当該譲渡が無効であることを主張することは許されない。
●ちょっと楽にしてみよう
判決文問題は、判決文がだけでなく選択肢の文章も長い傾向にあります。ですが、見た瞬間に「うわっ、読むの面倒くさい」と思わず軽く全体に目を通してみてください。
今回の選択肢前半の「債権譲渡~譲渡された場合」まで全く同じ文章になっています、統一の前提であれば答えの選択肢に影響しないので、読まなくてもいいですね。なので、実際に読み解くべき文章は、
1 債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときに限り、債務者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
2 債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
3 債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
4 債権譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するために付されるものであるので、債権者はいかなるときも当該譲渡が無効であることを主張することは許されない。
こうなります、だいぶシンプルになりましたね。
●この一文でだけでOK
なんだかんだ難しく書いていますが、今回の判決文が言いたいことで答えに関係するのは下の一文
債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されない
つまり、「債務者に無効主張の意思がないと無効の主張できないよ」これだけです。
●選択肢
1 債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときに限り、債務者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
判決文は債務者が無効の主張する意思がある時と書いているので誤り。
2 債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
判決文は債務者が無効の主張する意思がある時と書いているので誤り。
3 債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
正しい、まさに判決文の内容と一致しています。ほかの選択肢がよくわからなくても、ここがどう考えても正しいので正解することはできると思います。
4 債権譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するために付されるものであるので、債権者はいかなるときも当該譲渡が無効であることを主張することは許されない。
誤り、債務者が譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであればOKなのに、いかなるときもというのが間違っています。
●まとめ
やはり判決文は落ち着いて考えれば得点源になりうると思いますので、怖がらずに立ち向かいましょう。