公正証書なのか?書面でいいのか?「定期借地・借家契約」新人だった頃の悔しい思い出

いつもお世話になっております、沖縄で中古物件を扱う株式会社イエカリヤです。

 

定期借家契約や定期借地契約において、公正証書で契約しなければいけないのか書面であればいいのか?の質問があったので少し苦いエピソードを加えながら解説していきたいと思います。

ぶっちゃけそこまで頻出の問題ではないので、宅建の勉強されている方は箸休めにお読みください。

 

●公正証書か公正証書による等か?

宅建士試験を勉強していく中で、定期借家契約や定期借地契約を学習することになりますが、通常の契約とは違って書面で行わなければなりません。

この時に公正証書と言って契約の内容を公証人に確認してもらう手続きをしてもらわないといけない場合があるのですが、条文の書き方が紛らわしいので注意が必要です。

 

●公正証書でなければいけないのは事業用定期借地権のみ

結論から言うと絶対に公正証書で契約をしなければいけないのは事業用定期借地権の場合だけになります。

条文を見てみましょう。

 

定期借地権

第22条
存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、~中略~公正証書による等書面によってしなければならない。

 

事業用定期借地権

第23条
専ら事業の用に供する建物~中略~
前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

 

定期建物賃貸借

第38条

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、~以下略~

 

だいぶ中身は省きましたが、太字になっている部分を注目してください。

 

定期借地権・・・公正証書による等書面によってしなければならない。

 

事業用定期借地権・・・公正証書によってしなければならない。

 

定期建物賃貸借・・・公正証書による等書面によって契約をするときに限り。

 

お分かりでしょうか?事業用定期借地権の場合だけが違った文言になっています、簡単に言うと。

 

公正証書による等書面→公正証書でもいいし、書面であれば公正証書じゃなくてもいいよ。

公正証書によってしなければならない→公正証書じゃないとダメだよ。

 

ということです、パッと見条文を見ただけでは違いに気づきにくいですね。

 

●宅建だとこう出される

平成26年問11

2.存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくとも、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。

誤り・・・条文では事業用定期借地契約は公正証書でのみ契約できることとなっています。

 

平成26年問12

1.定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面によらなければならない。

正しい・・・条文通りですね。

 

●まだ不動産業界に入りたての頃

先ほど書いた通り、この問題って宅建でもそこまで多く出されるわけではありません。

ですので、中身自体は把握していたのですが、うろ覚えだったんです。

 

以前勤めていた会社にいた頃、事業用で定期建物賃貸借契約をする案件がありました。

先ほど書いた通り定期建物賃貸借契約であれば書面は公正証書ではなく普通の書面で構いません。

 

契約を進めるにあたって、借主さんから「1週間前には契約書の中身を確認したい」とのことだったので、事前に送っておいたんです。

ご担当の方からは特に不備等を指摘するお話もなく契約当日になりました、しかし、契約当日に借主さんの代表者の方がすごい剣幕で事務所に来て

なんだこの契約書は!!公正証書じゃないとダメだろ!!

と怒鳴り込んできました。

 

一瞬でパニックになりました、しかも六法を持ってきて

「ほらここに公正証書じゃないとダメだと書いてある!」

と詰め寄ってくるのです。さらに、

 

「こんな契約無効だぞ!!わかってるのか?ただ、今回は特別に見逃してやるからさっさとしろ!」

 

とのことだったので、「申し訳ありません、ありがとうございます。」を連呼しながら契約を進めていきました。

 

この方の言い分って、今考えると色々とめちゃくちゃなんですよね。

まず、1週間前に契約書出しているのに契約当日まで何も言わず、契約時に詰め寄るところからまずおかしいですね。

おそらく担当の方とあまり密に連絡を取っておらず、前日の夜くらいに初めて見たんだと思います、そうでなければ「当日カマして、主導権握ってやろう」と思ったかのどちらかでしょう。

 

さらに、先ほど書いたように定期建物賃貸借契約は書面であればOKなので公正証書でなくても良いんです。

 

さらにさらに、「こんな契約は無効!だけど、今回は特別にやってやる」と言っていましたが、無効な契約を締結したところで無効なので意味がありませんよね?無効だと主張するなら「公正証書にしろ!」と言わなければ矛盾しています。

 

今ならきちんと説明して嫌味の一つも言っていたかもしれませんが、当時ペーペーだった私が企業の代表取締役である先方に反論できる訳もなく、しばらくもやもやする日が続きました。

こんなことめったに無いですが、もし皆様が同じ状況になったら自信をもって説明してください。

 

●まとめ

  • 事業用定期借地の時に公正証書が必要
  • 条文のちょっとした違いで答えが変わる

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當間
當間
沖縄の中古不動産市場を活性化させるために日々活動しています。少し変わった物件が好きな、株式会社イエカリヤ代表です。プロフィールはコチラ
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