宅建士試験、判決文問題は怖がらなければチャンスになる

いつもお世話になっております、株式会社イエカリヤです。

今日は宅建士試験の中でも苦手意識のある方が多い判決文問題について実際の問題を解きながら説明してきます。

 

平成29年第3問

次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
判決文
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。

1.共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。
2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。
3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。
4.GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。

 

●解説

はい、パッと見るだけで嫌になってきますね、少しずつかみ砕いていけば決して難しい話ではありません、色分けした部分が解答につながります。

こういう風に登場人物が分かりにくい時は絵にしましょう。

 

●前半部分

共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者」の部分を読んでどういう状況かを見てみましょう。

まず、「共有者の一部」という文言から、共有物(選択肢では建物)を所有している人が2人以上いることが分かります。

さらに「共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者」から、共有者間で協議されておらず。

 

共有物の占有を承諾した共有者「1さん」

共有物の占有を承諾していない共有者「2さん」

「1さん」から占有の許可を得た「3さん」

 

の3人が登場人物ということがわかります、厳密には共有者の人数はもっと多くなる可能性もありますが、とりあえずシンブルに考えます。

ここまでが前提になります。

 

●中盤部分

「その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできない」

「その者の占有使用を承認しなかった共有者」は先ほどの「2さん」ということがわかります、つまり「3さん」は「2さん」に対して排他的に占有する権原を持たないということです。

 

●後半部分

間の部分は飛ばして「第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできない」に着目します。

これはつまり「2さん」は「3さん」に対して排他的に占有する権原を持たないということです。

 

●要するに

前半部分の前提の時は「2さん」と「3さん」はお互いに排他的に占有する権原を持たないということです。

難しそうに書いていますが、この問題はここさえ把握できれば正解できます。

 

●選択肢

それを踏まえて選択肢を見ていきます。

1.共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。

正しい、有しているのであれば排他的占有権を主張できることになります。

 

2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。

前提と合わせると

共有物の占有を承諾した共有者「A」

共有物の占有を承諾していない共有者「B」

「A」から占有の許可を得た「C」

の3人の関係性を聞いています。

先ほどの後半部分から、Bは排他的占有権を主張できないので、選択肢は正しいです。

 

3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。

前提と合わせると

共有物の占有を承諾した共有者「D」

共有物の占有を承諾していない共有者「E」

「D」から占有の許可を得た「F」

の3人です。

判決文の前半部分からFはDに対して排他的請求権を主張できないので、誤りの選択肢になります。

設問が誤りの選択肢はどれか?なのでこの選択肢が正解になります。

 

4.GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。

ここは判決文とは関係ない民法の規定です。

 

●まとめ

4は判決文から正誤を判断することができませんが、正解の選択肢は4が分からなくても出すことができます。

このように、判決文問題は事前知識が無くても正解を取ることができるので、逆にチャンスだったりしますので、「ヒントがいっぱい書いてあるラッキー」くらいの気持ちで挑みましょう。

當間
當間
沖縄の中古不動産市場を活性化させるために日々活動しています。少し変わった物件が好きな、株式会社イエカリヤ代表です。プロフィールはコチラ
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